フリードマン

フリードマン

ローレンス・フリードマン(Sir Lawrence David Freedman 1948年12月7日 - 現在)は、イギリスの政治学者であり、戦略の研究を専門としている。

経歴

イングランド北東部のタインマス出身。1975年に博士号を取得した。博士論文を手直しした原稿は『アメリカの情報とソ連の戦略的脅威(US Intelligence and the Soviet Strategic Threat)』(1977)として出版されている。国際戦略研究所(International Institute for Strategic Studies, IISS)、王立国際問題研究所(Royal Institute of International Affairs, RIIA)の研究員を経て、1982年にキングス・カレッジ・ロンドン(King's College London)に戦争学教授の身分で着任した。この年には『核戦略の発達(The Evolution of Nuclear Strategy)』(1982)を出版しており、これは冷戦期の核戦略の発達を論じた名著として評価されている。1990年から1991年の湾岸戦争でアメリカの精密誘導、情報通信、ミサイルの技術的優位が認識されると、これら技術の組み合わせを軍事における革命(revolution in military affairs, RMA)としてモデル化し、戦力開発に取り入れる動きが生じた。この動きを受けてフリードマンは1998年の『戦略における革命(The Revolution in Strategic Affairs)』で将来のアメリカの敵対勢力はRMAが想定しない戦い方を選ぶことになると予想し、RMAの効果に依存しない戦略構想を持つことの意義を主張した。

1995年にはイギリス学士院に選出され、1996年に大英帝国勲章を授与されるなど、研究者として高い評価を受けた。2000年に社会科学・公共政策学部長に就任し、また聖マイケル・聖ジョージ勲章を授与された2003年にはキングス・カレッジ・ロンドンの副学長に就任し、2013年までその職に留まった。在職中にイギリス軍の戦史編纂事業に携わっており、2巻本の『フォークランド戦役の公式戦史(Official History of Falkland Campaign)』(2005)を執筆した。2014年に退職した後はオックスフォード大学の客員教授に着任し、現在に至るまで研究を続けている。

著作

フリードマンは冷戦期の戦略に関する業績で評価されており、特に核戦略に関する研究成果がよく知られている。1982年に出版した『核戦略の発達』は代表的な業績であり、2019年に改定版が出版された。