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コリン・グレイ(Colin Gray, 1943年 - 2020年)はイギリスの政治学者、軍事学者である。核戦略の方面で多くの研究業績がある。
オックスフォードシャー出身。マンチェスター大学で修士号を、オックスフォード大学で博士号を取得し、イギリスやカナダなど各地の大学で教員を務めた。ハーマーン・カーンが設立したハドソン研究所に所属して上級研究員を務め、後にアメリカでシンクタンクである公共政策研究所(National Institute for Public Policy)を設立している。1980年に核戦争が可能であると主張したことで論争を巻き起こし、その名前が広く知られるようになった。レーガン政権の下で軍備管理・軍縮に関する一般諮問委員会のメンバーとして助言を与えている。1993年にイギリスに帰国してハル大学の教授に着任し、2000年からはレディング大学で教鞭をとっていたが、2014年に退職した。
グレイは核時代における地政学の研究で知られるようになり、やがて核戦略、戦略全般に研究領域を広げてきた。日本語に翻訳されている研究業績として以下の2点を挙げておく。『核時代の地政学(The Geopolitics of the Nuclear Era)』(1977)は伝統的な地政学の概念を冷戦期の世界情勢に拡張して適用したものであり、『現代の戦略(Modern Strategy)』(1999)はクラウゼヴィッツの研究を基礎に置いたグレイの戦略思想を展開した研究である。