S.L.A.マーシャル

マーシャル

サミュエル・マーシャル(Samuel Lyman Atwood Marshall; S. L. A. Marshall, 1900年7月18日 - 1977年12月17日)はアメリカの陸軍軍人、歴史家、著述家である。軍事史の研究に面接調査の手法を持ち込んだことなどで知られている。

経歴

ニューヨーク州キャッキル出身。1917年に陸軍に入隊し、一兵卒として部隊に勤務していた。第一次世界大戦にアメリカが参戦した時には下士官としてフランスに派遣されたが、その能力が認められて士官候補生学校に入学し、1919年に任官した。戦後はフランスで復員の業務に携わった。終戦後は予備役に編入されたので、テキサス鉱業大学で学び、さまざまな仕事を転々とした。最終的に記者として国内で高い評価を受けるようになり、ドイツ軍の戦術を分析した『電撃戦(Blitzkrieg)』(1940)によってその名声を確立した。

1941年にアメリカが第二次世界大戦に参戦してからは陸軍公式の戦史家になり、戦闘経験者に対する面接調査を通じて従来までなかった軍事史のアプローチを発展させた。第二次世界大戦における歩兵の戦闘効率について考察した『銃火に立ち向かう兵士(Men against Fire)』(1947)は最もよく知られた著作である。これは最前線にいる兵士の75%近くが実際に敵を殺傷するために発砲していないと報告して注目を集めたが、面接調査の妥当性をめぐっては研究者の間で論争が起きた。

1950年に朝鮮戦争が勃発すると、マーシャルは再び陸軍の戦史家として調査に携わり、その後も非公式の顧問として陸軍と関わりを持っていた。1960年に陸軍を退いてはいるが、ベトナム戦争で面接調査の手法を将校に指導するためにベトナムを訪れるなど、陸軍との関係は続いている。テキサス州エルパソで死去。

著書

  • Marshall, S. L. A. 2000(1947). Men Against Fire: The Problem of Battle Command. University of Oklahoma Press.
  • Marshall, S. L. A. 1980(1950). The Soldier's Load and The Mobility of a Nation. Quantico: Marine Corps Association.