ワーデン

ワーデン

ジョン・ワーデン(John Ashley Warden III 1943年12月21日 - 現在)はアメリカの空軍軍人であり、湾岸戦争で航空作戦の指揮をとった功績で知られており、現代の航空作戦の研究において重要な業績を残した。

経歴

テキサス州の出身。空軍士官学校に入学し、フラーの著作を通じて軍事学に対する関心を深めた。1965年に少尉に任命され、教育訓練を経て韓国に派遣され、戦闘機部隊に配属された。1969年にベトナム戦争での任務を志願し、機上前方航空管制官として勤務し、航空作戦の経験を積んだ。1975年に国防総省に配属され、中東の軍事情勢を担当した。その後、再び各地の空軍基地で勤務したが、その間にワーデンは自らの研究を進めていた。『航空戦役(The Air Cammpaign)』(1988)はワーデンが航空戦略の体系的な分析を展開した最初の著作だっただけでなく、当時のアメリカ陸軍が採用していたエアランド・バトルのドクトリンに対して批判的立場を示すものとして注目を集めた。

1989年に第36戦術戦闘機航空団の指揮官から国防総省での勤務に移ると、戦争遂行構想を指導する地位に就き、空軍の戦略思想の刷新に取り組んだ。1990年に湾岸戦争が勃発し、イラクがクウェートへ侵攻した際には、イラクに対する戦略爆撃の計画立案で指導的役割を果たした。その計画は1991年の砂漠の嵐作戦で成功裏に実行され、ワーデンは最も影響力がある航空戦略思想家として見なされるようになった。その後、ワーデンは教育に従事しており、1995年に退役した。その後は自身の企業を立ち上げ、コンサルティングを行っている。

著作

ワーデンの主著としては航空戦略について論じた『航空戦役』(1988)が挙げられるが、日本語に翻訳されていない。作戦レベルで航空戦力の運用を検討した研究であり、クラウゼヴィッツの概念である重心を分析に応用したことでも注目される。

  • Warden, John A. III. 1988. The Air Campaign: Planning for Combat, Washington, D.C.: National Defense University Press.