フロンティヌス

フロンティヌス

セクストゥス・ユリウス・フロンティヌス(Sextus Julius Frontinus, 40年? - 紀元103年?)はローマの政治家、軍人、著述家である。軍事学史では『戦略論(Strategemata)』の著者として知られている。

経歴

出身、家系などに不明な点が多いが、パトリキ(貴族)の出身だと推定される。70年に法務官(プラエトル・ウルバヌス)を務めてから、75年以降はブリタニア長官に就任し、現地でローマ軍の指揮をとっていた。77年にその任務をアグリコラ(Gnaeus Julius Agricola, 40-93)に引き継ぎ、78年にローマに帰国している。95年にローマの水道長官に任命されており、水道の改修を監督するなど、土木工事の方面でその手腕を発揮した。『ローマの水道について』と題する報告書で、水道の管理に関する詳細な検討を行っている。99年のダキア遠征に参加したとされるが、その詳細は分かっていない。

著作

フロンティヌスは土木工学において高い見識を有する技術者だったことは間違いない。軍事工学に関する著作も執筆したとされるが、その著作は現存していない。現在では野戦軍の指揮官に向けて書かれた戦史の研究である。これは4巻で構成されているが、その第4巻はフロンティヌスの著作ではないとされている。

  • フロンティヌス『フロンティヌス戦術書』兵頭二十八訳、PHP研究所、2013年