ツー・ゾルムス

ツー・ゾルムス

レインハルト・ツー・ゾルムス(Reinhard Graf zu Solms, 1491年10月? - 1562年9月?)は、ドイツ出身の陸軍軍人であり、要塞建築の軍事技術者として、またルネサンス期の軍事学者として知られている。

ドイツの貴族フィリップ・ツー・ゾルムス(Philipp zu Solms)の末子として生まれたが、若い頃の詳しい経歴は分からない。しかし、1516年、フランツ・フォン・ジッキンゲン(Franz von Sickingen)の軍隊に入隊し、将校としての経験を積んでからは、数多くの戦争を経験した。1522年にジッキンゲンが騎士戦争を引き起こした際には軍隊を離れていたが、1531年からハーナウで要塞を再建する事業に携わり、1534年にミュンスターの反乱が勃発するとミュンスター攻囲に加わった。1536年に第四次イタリア戦争が勃発すると、神聖ローマ帝国の陣営で参戦したナッサウ家の軍隊に入隊した。1538年からインゴルシュタット要塞の再建事業に携わり、1543年にはインゴルシュタットを離れ、皇帝カール五世の軍隊に入隊した。1544年の夏の戦役ではサン=ディジエの攻囲で坑道建設の指揮をとった。1546年にシュマルカルデン戦争が勃発すると、元帥(Feldmarschall)に昇進を果たし、フランクフルトの防衛を任された。カール五世の下では外交使節としての任務も遂行し、各地で新兵の募集にも従事した。1551年にフランスと第六次イタリア戦争が勃発したことで、1552年に敵対する陣営によりヘッセンで身柄を捕らえられたが、後に釈放され、再び皇帝軍に加わった。アルバ公の下でメッツの攻囲に参加しているが、その攻略には失敗してしまった。1554年にイングランドへ旅行し、1556年にカール五世との雇用契約は解消され、1557年からはイングランド軍の一員としてフランスで従軍した。しかし、新しい仕事を長く続けることはなく、1560年にドイツに戻って別の軍務に就き、大佐の階級を与えられた。リッヒで死去。

主著として挙げられるのは『戦争の解説(Kriegsbeschreibung)』(1559)であり、戦史から武器に至るまで多岐に渡る軍事学の主題に百科事典的な解説がなされている。リッヒに移り住んでから出版されたと見られており、近世ヨーロッパの軍事史を研究する上で貴重な資料である。日本語、英語ともに翻訳は見つからない。

  • zu Solms, Rreinhard. 1559. Kriegsbeschreibung nach alter teutschen Ordnung, Gebrauch und Herkomen, mit andernoch Büchern von alter Kriegsregierung und Rüstung, so zu dem Krieg gehört auch mit ihren augenscheinlichen Figuren, Lich.