ロンメル

ロンメル

エルヴィン・ヨハネス・オイゲン・ロンメル(Erwin Johannes Eugen Rommel, 1891年11月15日 - 1944年10月14日)はドイツの陸軍軍人である。

経歴

ハイデンハイム出身。教師の家に生まれ、1911年に陸軍に下士官候補生の身分で入隊した。当時、出身地のヴュルテンベルク王国で第124歩兵連隊に勤務していたが、ダンツィヒの陸軍士官学校に進み、1912年に少尉に任官した。1914年に第一次世界大戦が勃発すると、対仏戦に派遣され、戦闘で軍功を上げた。1915年に新編されたヴュルテンベルク山岳歩兵大隊に転属になり、1916年にはルーマニア戦線に、1917年にイタリア戦線に投入された。1918年には第64軍団司令部に参謀として配属されたが、ドイツ革命で戦争は終結した。ワイマール共和国でも陸軍に残留することが認められ、その後はドレスデンの歩兵学校で戦術を教えていた。1937年に『歩兵は攻撃する(Infanterie greift an)』を出版して商業的に成功したことにより、軍の内外から注目を集める軍人になった。ヒトラーと交流を持つようになったのも、この著作の成功によるところが大きい。

1939年に第二次世界大戦が勃発した当初は前線で勤務していなかったが、1940年の対仏戦で第7装甲師団の師団長として指揮をとった。1941年には北アフリカ戦線でドイツ・アフリカ軍団の司令官に着任した。当初は優位に戦闘を進めていたが、イギリス軍の反撃、アメリカ軍の来援などで1943年に北アフリカから撤退することを余儀なくされた。その後、フランスに派遣され、ノルマンディーに対する連合国の着上陸作戦に備えたが、1944年に上陸侵攻が開始された際に一時帰国していたため、軍団の指揮をとることができなかった。同年7月17日に起きたヒトラー暗殺未遂事件への関与が疑われ、裁判にかけられて死刑に処せられる恐れがあったために自決した。ヘルリンゲンで死去。

著作

ロンメルの著作『歩兵は攻撃する』は第一次世界大戦以降に発達した戦術の参考書として今でも読まれている。これは自らが実際に経験した戦闘について解説したものだが、戦術学の教材としての性格が強い内容である。日本語に翻訳されている。

  • エルヴィン・ロンメル『歩兵は攻撃する』浜野喬士訳、作品社、2015年