ベルケ

ベルケ

オズワルド・ベルケ(Oswald Bölcke, 1891年5月19日 - 1916年10月28日)はドイツの陸軍軍人である。航空戦術の父と称され、空軍の発達に大きく貢献した。

経歴

ハレ近郊のギービッヘンシュタインの出身。高校教師の家に生まれた。健康に問題を抱えていた時期もあったが、学校での陸上競技を通じて克服した。次第に軍隊での生活に興味を持つようになり、1911年に士官候補生として陸軍に入隊した。もともとコブレンツで教育を受けていたが、1912年にメッツの士官候補生学校に移り、同じ年に教育を修了した。1914年に航空隊への異動を申請して操縦士としての訓練を受け始め、第一次世界大戦が勃発してからは教官として指導に当たった。やがて、ベルケはフォッカー戦闘機部隊の指揮をとり、エースとして優れた戦果を上げ、効果的な戦術の原則を研究資料として書き残した。1916年に任務遂行中に不時着した際の怪我が致命傷だった。フランスのドゥエーにて死去。

思想

第一次世界大戦では、航空機がまだ本格的に運用されたばかりだったが、ベルケは戦闘機の操縦士として数々の戦功を上げ、その戦術的原則をまとめたことで高く評価されている。

  1. 攻撃の前に我の優位を確保するように努めよ。可能であれば、太陽を背にし続けよ。
  2. いったん攻撃を開始したならば、それを常に最後までやり遂げよ。
  3. 敵に敵機を近距離で、適切に照準できたときのみ射撃せよ。
  4. いつでも敵機を視界に捉え続けよ。決して敵の策略に乗せられてはならない。
  5. どのような攻撃の態勢でも、敵機の後方から襲撃することが重要である。
  6. 敵機が降下してくれば、その襲撃から逃れようとしてはならない。敵の方向に向けて飛行せよ。
  7. 敵の領空に侵入する際には退路を確保することを忘れてはならない。
  8. 4機あるいは6機の編隊で攻撃せよ。単機同士の交戦に入ったときは、2機で同じ敵機を攻撃しないように注意せよ。

著作

ベルケの死後、戦時下で書き残した日誌が編纂され、出版されている。英語に翻訳されているが、日本語への翻訳は見つからない。以下では英語の訳書を示しておく。

  • Bölcke, Oswald. 1917. An Aviator's Field Book: Being the Field Reports of Oswald Bölcke, from August 1, 1914, to October 28, 1916. Trans. R. R. Hirsch. National Military Publishing.