ケーブル

ケーブル

ジェームズ・エリック・シドニー・ケーブル(James Eric Sydney Cable, 1920年11月15日 - 2001年9月27日)はイギリスの外交官、研究者である。海軍戦略の研究で砲艦外交と知られる海上戦力の戦略的運用を分析したことで知られている。

経歴

外交官の家に生まれ、ケンブリッジ大学コーパス・クリスティ・カレッジで学んだ。第二次世界大戦が進行中だった1941年に大学を卒業し、イギリス陸軍に士官候補生として入隊した。翌1942年に少尉に任官し、兵科は通信科になった。その後、部隊での勤務を通じて少佐にまで昇進しているが、1947年に外務省に入省し、軍人から外交官に転身した。それから1980年まで外務省で世界各地に赴任したが、ハンガリーで勤務していた際には、イギリスからハンガリーの外交官が退去させられた報復として1959年に国外に退去させられている。

職務の合間に外交と戦略の研究に取り組んでおり、ペンネームを使って海軍史の研究に取り組むようになった。『砲艦外交(Gunboat Diplomacy)』(1971)はケーブルが取り組んだ研究の成果として最も重要なものであり、平時における海上戦力の限定的な運用の意義を明らかにした。1975年から大使としてフィンランドに派遣されており、1980年に退職するまでその地位にあった。退職後は著述業に専念し、海軍戦略に関する研究業績をいくつか残している。

著作

ケーブルの著作で最も重要なのは『砲艦外交』(1971)だが、これには改訂された3版がある。砲艦外交のパターンを4種類に区分した上で、20世紀の海軍史を検討したものである(文献紹介 砲艦外交を使いこなせ:イギリスの海軍戦略家による考察)。また海軍史の研究として『歴史における海上戦力の政治的影響(The Political Influence of Naval Force in History)』(1998)がある。

  • Cable, James. 1994. Gunboat Diplomacy, 1919-1991: Political Applications of Limited Naval Force, 3rd ed. Basingstoke: Macmillan.
  • Cable, James. 1998. The Political Influence of Naval Force in History. Basingstoke: Macmillan.