何良臣

何良臣

何良臣(16世紀? - 17世紀?)は明代の軍事家であり、中国の軍事学史では『陣紀』の著者として知られている。

経歴

字は陳明、浙江余姚の出身。生年、没年、家系、経歴など明らかにされていないことが多いが、著作では自分が若い頃から進んで兵書を通じて軍事を学んでいたと述べられている。詳しい経緯は不明だが、幕僚として従軍し、軍事訓練の巧みさによって評価された。作戦を成功させたことが認められ、偏将軍を経て薊鎮の遊撃将軍に昇進した。主著である『陣紀』を記した時期は不明だが、倭寇の討伐で活躍した軍人の戚継光の著作『紀効新書』(1560)からの引用が見られるので、それ以降に執筆されたと判断できる。

『陣紀』は4巻本の兵書であり、主題は軍隊の管理と訓練である。多数の兵士を募集し、少数の兵士だけを選抜することの意義などが論じられており、例えば採用する人材は気力体力が充実している20歳以上、40歳未満でなければならないこと、体力検定を行って一定の基準を満たした者を採用するなど、採用すべき人材がどのような特徴を備えていなければならないかが具体的に説明されている。採用した兵士には訓練を施さなければならないが、その際にも「教練」、「到用」、「賞罰」、「節制」が重要だと論じられている。何は同書の他にも『軍権』、『利器図考』、『制勝便宜』などを書き残しており、明代における兵学の発達に貢献した。