メンドーザ

メンドーザ

ベルナルディオ・ド・メンドーザ(Bernardio de Mendoza 1540年? – 1604年8月3日)はスペインの陸軍軍人、外交官、著述家である。16世紀のヨーロッパで最も影響力が強かった軍事思想家でもある。

経歴

スペインのグアダラハラ出身。貴族階級の出身であり、1560年に士官候補生として陸軍に入隊した。独立を目指す反乱軍を鎮圧するため、フランドル方面に派遣された。フェルナンド・アルバレス・デ・トレドが率いる軍で経験を積み、軍功を上げることで皇帝フェリペ二世の信頼を得た。1578年にオランダの反徒を支援していたイングランドに大使として派遣された。イングランドで表向きは外交官として活動していたが、裏では政治工作に従事し、1584年にその活動が発覚すると国外に追放された。次に派遣されたフランスにおいても大使として活動したが、当時のフランスではユグノー戦争(1562 - 1598)が進行中であり、メンドーザはそこで反乱を起こしていたカトリック同盟の指導者アンリ一世に資金を提供し、フランスの政治情勢に干渉していた。しかし、アンリ一世が1591年に暗殺されたことで、メンドーザの政治工作は頓挫し、また健康状態が悪化し、視力をほとんど失ったため、スペインに帰国した。

視力を失った後でメンドーザはいくつかの著作を口述筆記で残した。自身が参加したフランドルでの戦争の歴史に関する著作の他に、『戦争の理論と実践(Theórica y práctica de la guerra)』(1595)と題した著作を出版している。この著作では戦争術に関するさまざまな問題が取り扱われている。例えば戦場で歩兵が縦隊と横隊のどちらを採用すべきかという問題については状況によるが、1:3の比率を超えることは不利だと論じている。また騎兵の装備については、槍騎兵と拳銃を持つ竜騎兵では、槍騎兵の方が有利だと主張しており、100騎から120騎からなる槍騎兵中隊をもってすれば、400名から500名の竜騎兵中隊を撃破できるとも論じた。この研究業績は国外で評判となり、何度もドイツ語に翻訳された。現在まで日本語に翻訳されていない。メンドーザはマドリードで死去した。

業績

  • Mendoza, Bernardio de. 1998(1595). Theórica y prática de guerra, Madrid: Ministerio de Defensa.