李筌

李筌

李筌(Li, Quan, 8世紀?)は唐代の道士、学者である。中国の軍事学史において『孫子』を注釈し、『太白陰経』などの軍事学の著作を残したことで知られている。

経歴

生年没年がいずれも特定できず、出身、家系、経歴もよく分かっていない。道士の杜光庭(850 - 933)が記した『神仙感遇伝』によれば、「李筌には将略があり、『太白陰符』10巻を作り、入山して修行し、その後のことは分からない」とだけ記されている。主著『太白陰経』の内容は主題によって6部に分類できる。第1部は政治を含めた兵法の原則について総論的に説明したものであり、第2部は軍礼に関する事項、つまり軍隊の部署や祭祀の執り行い方が述べられている。第3部は武器に関する記述であり、刀、槍、弓、弩からはじまって、要塞の攻囲や要塞の守備に使用する大型の装備までが網羅されている。第4部は築城を中心に各種工事に関する解説が盛り込まれており、第5部では戦闘陣形、第6部では占術が取り上げられている。

著作

唐制を研究した杜佑の古典的著作『通典』において『太白陰経』が取り上げられていることから、当時の知識人の間で兵書として高く評価されていたと考えられる。日本語に翻訳されていないものの、オンラインで読むことができる。