『隊長コップは三度死ぬ』

『隊長コップは三度死ぬ』

イギリス陸軍軍人アーネスト・スウィントンの『愚者の渡しの守り』(1904)は小隊規模の分遣隊が河川を防御する小部隊の戦術を扱った小説でした。これは20世紀に最も広く読まれた戦術学の入門書としても知られています。この『隊長コップは三度死ぬ』はスウィントンが出題した際に用いた地形を踏まえながら、防御ではなく攻撃する立場で小部隊戦術を扱った小説であり、その狙いは陣地攻撃について理解を深めることにあります。

全部で5章から構成されており、隊長ナーヴェテ・コップが失敗を繰り返しながらも、次第に戦訓を蓄積し、指揮官として成長していくというあらすじになっています。物語の基本的な構成や状況は『愚者の渡しの守り』と同じですが、登場人物の立場が異なるため、まったく異なった戦術問題を解決しなければならず、読者はコップの立場であればどう問題を解決できるのか思考を巡らせることができます。

オリジナルな内容を持った小説を書くことは著者にとって初めての試みではありますが、戦術の入門書として一定の役割を果たすことができると判断し、今回Amazonのキンドル・ダイレクト・パブリッシングから電子書籍版を出版することにしました。原作ではあまりなかった指揮官の心理的な描写や、刻々と変化する状況の時間的な推移といった要素を追加しています。