ギシャール

ギシャール

カール・テオフィル・ギシャール(Karl Theophil Guichard, 1724年9月27日 - 1775年5月13日)はオランダ、プロイセンの軍人、歴史学者であり、特に古代の軍事史に関する研究業績で知られている。

経歴

マクデブルク出身。フランスからの難民の家に生まれた。聖職者になるための教育を受け、ライデン大学などで神学を学んだ。一時はライデン大学で講師の仕事を続けながら教授への就任を目指したこともあったが、最終的に就職に失敗したため、1747年にオランダ陸軍に入隊した。軍人としてオーストリア継承戦争に短期間従軍し、その経験から古代の軍事史への関心を強めた。

1752年にオランダ陸軍を退いてからイギリスへ渡り、図書館に通って文献調査を行った。その成果は1757年にハーグで最初の著作『ギリシア・ローマの軍事的回想録(Mémoires militaires sur les Grecs et les Romains)』として発表され、順調な売れ行きを見せた。イギリスから帰国したギシャールはブラウンシュヴァイク公にプロイセン陸軍への入隊を申し出たが、それがきっかけでプロイセン国王フリードリヒ二世とブレスラウで初めて面会することができた。

その際にギシャールは知識人としての教養が評価を受け、フリードリヒ二世の副官として抜擢されることになった。さらに1759年には第8独立大隊の大隊長に任命され、七年戦争を通じてフリードリヒ二世の下で従軍した。1763年に七年戦争が終結してからは、1764年にプロイセン王立学会の会員に任命され、王立図書館長の地位を与えられた。その後も古代の軍事史に関する研究を続け、『古代の軍隊のいくつかの点に関する批判的、歴史的回想録( Mémoires critiques et historiques sur plusieurs points d'antiquités militaires)』(1773)を書き残した。ポツダムで死去。

著作

ギシャールの著作はいずれも古代の軍事史に関するものであり、ドイツにおいて大きな影響力があった。啓蒙思想の時代における軍事学では古代の戦争術に対する関心を深めていったが、ギシャールの研究のその潮流に位置付けることができる。著作についてはオンライン版があるため、そちらを参照されたい。

  • Guichard, K. T. 1758. Mémoires militaires sur les Grecs et les Romain. Haag.(オンライン版、Internet Archive)
  • Guichard, K. T. 1773. Mémoires critiques et historiques sur plusieurs points d`antiquités militaires. Berlin.