オシポフ

オシポフ

オシポフ(M. Osipov, 19世紀? - 20世紀?)はロシア人の研究者である。微分方程式で戦闘をモデル化することを提唱していた業績で知られており、軍事オペレーションズ・リサーチの学説史において画期的な業績を残したことで知られている。

経歴

オシポフの出身、家系、経歴は一切不明である。分かっているのは、書き残された論文に記載された「M. Osipov」という名前だけであり、フルネームさえも明らかにされたことはない。オシポフ自身の説明によれば、彼は軍人ではなかった。しかし、論文においてロシア陸軍の教範を参照した箇所があるだけでなく、戦闘で歩兵が敵陣地に対して突撃を行う際に、それぞれの部隊がどれだけの攻撃正面をとるかなどの戦術に関する専門知識を身に着けていたことが伺われる。軍事史上の有名な戦闘への言及、数学、統計学に関する知識の深さなどから総合的に判断すると、ロシアで専門的な教育を受けた技術者だった可能性が高いように思われる。オシポフの論文は1915年6月から10月にかけて出版されているため、彼が第一次世界大戦、ロシア革命、ロシア内戦を生き延びることができたのかは定かではない。

業績

オシポフの業績は同じく微分方程式で戦闘モデルを記述したランチェスターの業績と比較されることが多い。しかし、オシポフの研究には、ランチェスターの研究にはない独自の要素が少なくなく、単純な比較を行うことは適切ではない。例えば、オシポフは諸兵科連合、つまり複数の兵科の部隊が協同一致して戦闘を遂行するという状況を考察しているが、その際に歩兵1名を単位とした上で火砲や機関銃の威力をそれに換算する方法を提示している。歴史上の戦闘から得られたデータを統計的な手法によって処理していることもオシポフの研究の特徴である。

  • Osipov, M. 1915. The influence of the numerical strength of engaged sides on thier losses. Military Collection(USSR). Part 1, No. 6(June), pp.59-74; Part 2, No. 7(July), pp. 25-36; Part 3, No. 8(August), pp. 31-40; Part 4, No. 9(September), pp. 25-37; Part 5 (Addendum), No. 10(October), pp. 93-96.