シミュレータ

シミュレータ

シミュレータ(simulator)とは、シミュレーションを実施するための装置、ソフトウェア、施設はシのことである。教育訓練を目的とするものから、調査研究を目的とするものまでさまざまなものが開発されている。

戦術の教育や装備の検討に使用されるシミュレータで有名な例としてアメリカ陸軍のシミュレーター・ネットワーキング(SIMulator NETworking, SIMNET)が挙げられる。1980年代に主力戦闘戦車M1エイブラムズと歩兵戦闘車M2ブラッドレーのリアルタイム訓練シミュレータが開発されたが、当初は車両ごとの訓練ができるにすぎなかった。戦車小隊でより現実的な戦闘訓練を行うためには複数名のプレイヤーが参加できる必要があった。そこで1987年から広域ネットワークの機能を備えたSIMNETの運用が開始された。このSIMNETには準自動部隊(semi-automated forces, SAF)と呼ばれる機能が実装されており、この機能によって演習員は仮想的戦場において攻撃、防御、後退行動などの戦術行動をとる敵の部隊に対してどのような行動をとるべきかを演練できるようになった。1990年に勃発した湾岸戦争でアメリカ軍はSIMNET上でSAFを対抗勢力とする演習を実施し、その訓練効果については高い評価を受けた。

これ以外にも航空機、艦艇などさまざまな領域に応じたシミュレータが運用されており、研究、訓練のための環境として活用されている。

参考文献

  • Raymond R. Hill and Andreas Tolk. 2017. A History of Military Computer Simulation, in Andreas Tolk, John Fowler, Guodong Shao, Enver Yücesan, Advances in Modeling and Simulation, Springer, pp. 277-99.