ウサーマ・イブン・ムンキズ

ウサーマ・イブン・ムンキズ

ウサーマ・イブン・ムンキズ(Usama Ibn Munqidh, 1095年6月25日 - 1188年)はシリア出身の軍人、作家である。

経歴

シリアのシャイザル出身。領主ムンキズの家に生まれる。1129年にモスルの太守であり、シリアの統一を目論んでいたザンギー(Imad al-Din Zangi, 1127? - 1146)に軍人として仕えた。1146年にザンギーがアレッポを占領してからは、使者として各国に派遣されるなど、その外交政策を支えた。1144年にファーティマ朝カリフのアル・ハーフィズに保護され、封土を与えられたので、ザンギーが暗殺されてからも生計を立てることができた。しかし、1154年にカイロで反乱が起きると、シリアに戻らざるを得なくなった。シリアではザンギーの子ヌール・アッディーンの保護を受け、1156年にジハードが宣言されてからは、軍人として仕えた。1164年にはファルク・アッディーンの保護を受け、著述に取り組むことができた。1169年にファーティマ朝が滅ぶと、サラーフ・アッディーンに仕えていた息子の仲介で新たな封土を与えられている。1174年にダマスカスにて死去。

著作

著書『実例による教訓の書(Kitab al-I'tibar』はウサーマの回想録とでも呼ぶべき内容であり、必ずしも軍事的な問題を論じた兵書ではない。しかし、ウサーマが軍人として複数の作戦に参加した経験を持つことから、十字軍時代の戦争術を調べる上で貴重な史料である。すでに翻訳されているため、英語で読むことができる。