『演習問題で学ぶ戦術学入門』

『演習問題で学ぶ戦術学入門:ある将軍が息子にあてた小部隊戦術についての手紙』(1918)

  • 武内和人訳『演習問題で学ぶ戦術学入門:ある将軍が息子にあてた小部隊戦術についての手紙』国家政策研究会(2019年)

さまざまな状況を想定した問題を解くことを通じて、小部隊戦術を学ぶことができるように工夫されている。匿名の著者による作品だが、19世紀のイギリス陸軍の軍人と推定される。本書の内容も第一次世界大戦で西部戦線に派遣された息子の将校に向けて書いた手紙をまとめたものであり、そこでは小隊・中隊レベルの戦術行動に関する問題とその解答が記されていた。今回は、1918年に戦術教育の教材として出版されたものを翻訳している。

歴史的に見ると、19世紀末から20世紀初頭にかけて、武器の発達によって戦術は劇的に変化していた。それまでの陸軍の戦術においては、戦闘においても軍団・師団の戦術運用が重視されていたが、19世紀後半から次第に大隊、中隊のような部隊を中心に据えた戦術の研究の必要が認識されるようになり、20世紀に入ると小隊、さらには分隊のレベルの戦術が議論されるようになっていった。

戦術学の研究が進むにつれて、その成果をどのように教育訓練すべきが問題となった。さまざまな工夫を凝らした教科書や参考書が書かれたが、新しい教授法が確立されるまでには、さまざまな試行錯誤があった。イギリス陸軍軍人のスウェイントンが匿名で発表した『愚者の渡しの守り』もそうした試行錯誤の一つとして位置付けることができる。

本書は、第一次世界大戦以降の戦術教育の方向性を示すものだった。本書では実際の戦闘で直面する状況を示し、それに対してどのような命令、指示を出すのかを出題している。これは19世紀にモルトケが考えた戦術教育の方法論を応用するものだと言えるが、小隊や中隊といった小規模な部隊の戦術の教育に応用したところに新規性があった。

『演習問題で学ぶ戦術学入門:ある将軍が息子にあてた小部隊戦術についての手紙』(1918)

さまざまな状況を想定した問題を解くことを通じて、小部隊戦術を学ぶことができるように工夫されている。匿名の著者による作品だが、19世紀のイギリス陸軍の軍人と推定される。本書の内容も第一次世界大戦で西部戦線に派遣された息子の将校に向けて書いた手紙をまとめたものであり、そこでは小隊・中隊レベルの戦術行動に関する問題とその解答が記されていた。今回は、1918年に戦術教育の教材として出版されたものを翻訳している。

歴史的に見ると、19世紀末から20世紀初頭にかけて、武器の発達によって戦術は劇的に変化していた。それまでの陸軍の戦術においては、戦闘においても軍団・師団の戦術運用が重視されていたが、19世紀後半から次第に大隊、中隊のような部隊を中心に据えた戦術の研究の必要が認識されるようになり、20世紀に入ると小隊、さらには分隊のレベルの戦術が議論されるようになっていった。

戦術学の研究が進むにつれて、その成果をどのように教育訓練すべきが問題となった。さまざまな工夫を凝らした教科書や参考書が書かれたが、新しい教授法が確立されるまでには、さまざまな試行錯誤があった。イギリス陸軍軍人のスウェイントンが匿名で発表した『愚者の渡しの守り』もそうした試行錯誤の一つとして位置付けることができる。

本書は、第一次世界大戦以降の戦術教育の方向性を示すものだった。本書では実際の戦闘で直面する状況を示し、それに対してどのような命令、指示を出すのかを出題している。これは19世紀にモルトケが考えた戦術教育の方法論を応用するものだと言えるが、小隊や中隊といった小規模な部隊の戦術の教育に応用したところに新規性があった。