スパイクマン

スパイクマン

ニコラス・スパイクマン(Nicholas J. Spykman, 1893年10月13日 - 1943年6月26日)はアメリカの政治学者であり、アメリカにおいて政治地理学・地政学の研究を広めた功績で知られている。

オランダのアムステルダム出身。デルフト工科大学で学び、1913年に記者として中東に3年、オランダ領東インドで1年を過ごした。学位を取得するためアメリカに移住し、カリフォルニア大学に入学したが、1921年に学士号、1922年に修士号、1923年に博士号という異例の速さで目的を達した。その後、カリフォルニア大学で政治学を教えていたが、1925年にイェール大学へ移り、1928年には教授に就任してアメリカの市民権を取得した。1935年に国際関係学部学科主任とイェール研究所の所長を兼任したが、1942年に健康状態を損ね、1943年に悪性腫瘍が原因で病死した。短い生涯だったが、スパイクマンはマッキンダーなどの研究成果を取り入れ、『世界政治におけるアメリカの戦略(America's Strategy in World Politics)』(1942)を出版した。また、死後にその遺稿がまとめられて『平和の地理学(The Geography of the Peace)』(1944)も出版されている。いずれも政治地理学・地政学の見地からアメリカの戦略を考察した研究である。翻訳されているため、日本語で読むことができる。

  • Spykman, N. 1944. The Geography of the Peace, New York: Harcourt, Brace and Company.(翻訳『平和の地政学:アメリカの大戦略の原点』奥山真司訳、芙蓉書房出版、2008年)
  • Spykman, N. 1942. America's Strategy in World Politics: The United States and the Balance of Power, New York: Harcourt, Brace and Company.(翻訳『スパイクマン地政学:世界政治と米国の戦略』渡邉公太訳、芙蓉書房出版、2017年)