エルフルト

エルフルト

ヴァルデマール・エルフルト(Waldemar Erfurth, 1879年8月4日 - 197152日)はドイツの陸軍軍人であり、奇襲の研究で知られる。

経歴

ドイツのベルリン出身。測量技師カール・フリードリヒ・ヴィルヘルム・エルフルトの家に生まれる。1897年に志願兵として陸軍に入隊し、第35軽歩兵連隊に所属した。翌年に伍長に進級し、同年に少尉候補生となる。1899年には少尉任官を果たし、1904年には同連隊の第一大隊で副官を経験した。1906年から1909年に陸軍大学校で学び、近衛歩兵連隊での勤務を得て、1910年から参謀本部勤務となった。1914年に第一次世界大戦が勃発する直前に第二〇軍団の司令部に配属され、主に東部戦線で参謀として勤務した。第三六予備師団、第二〇三歩兵師団でも参謀として勤務した。終戦時の階級は大尉だった。戦後も陸軍に留まった。1931年に中将の階級で現役を退くと、アルベルト・ルートヴィヒ大学に入学し、1934年まで歴史学を学んだ。1935年には現役に復帰し、参謀本部で勤務したが、この間に『戦争における奇襲(Die Überraschung im Kriege)』(1938)をまとめており、近代戦における戦略的奇襲を論じた研究成果として評価され、英語に翻訳された。第二次世界大戦が勃発すると、1941年にフィンランドに渡り、ソ連とフィンランドの継続戦争を観戦する機会を得て、ドイツとフィンランドの外交関係の強化にも尽力した。1945年に第二次世界大戦が終結したときの階級は歩兵大将であり、国防軍最高司令部に勤務しており、アメリカ軍の捕虜となった。1947年に釈放されてからは、ドイツに開設されたアメリカ陸軍戦史研究部の支部で勤務し、継続戦争で著作を書き残した。バーデン=ヴュルテンベルク州テュービンゲンで死去。

著作

近代戦における奇襲を歴史的に考察した『戦争における奇襲』は今日でも高い評価を受けている業績であり、1943年に「奇襲(Surprise)」と題する英語訳が出版されている。英語訳は1987年に出版されたRoots of Strategy Book 3で収録されている。

エルフルトの業績には『殲滅の勝利(Der Vernichtungssieg)』(1939)もあるが、調査した限り英語訳は見当たらない。

ソ連・フィンランド継続戦争に関する戦史として書かれた『フィンランド戦争:1941-1944(Der finnische Krieg 1941–1944)』(1950)は、英語とフィンランド語に翻訳されている。