海軍基地

海軍基地

海軍基地(naval base)とは海軍の作戦行動を支援するために、軍艦の建造、修理、弾薬、燃料の補給、人員の休養や慰安などの機能を持つ陸上施設である。

海軍基地の最も重要な機能とは、艦隊に所属する艦船に軍需品を補給し、また必要な整備を提供することである。前者の機能を担うのが補給廠であり、後者の役割を担うのが海軍工廠である。海軍工廠は軍艦を建造、艤装するために入渠、修理の設備を備えたものを指しているが、完全な設備を備えた海軍工廠は一部しか存在せず、政府あるいは民間が経営する造船所であっても海軍基地としての役割を果たしている場合がある。それとは反対に、海軍工廠と呼称されているにもかかわらず、艦船を建造するために必要な施設を完備しないため、修理や再艤装しかできない場合もある。そのため海軍基地という概念を使用する場合には、その海軍基地にどの程度の支援能力があるのかを評価することが不可欠である。

すべての艦船は定期的な整備と補給を受けることを必要とする。そのため、海軍基地は海軍の作戦行動を直接規定する要因になってきた。海軍基地が海軍戦略を規定する上で重要な意味を持っていると分析したことはアメリカの海軍軍人アルフレッド・セイヤー・マハンの功績の一つである。マハンは海軍基地の価値を立地、規模、資源などの要因から評価することを提案し、海軍戦略の研究課題として位置付けた。海軍基地の基本施設である海軍工廠と補給廠はいずれも偽装、隠蔽が難しく、戦術的な観点から見て脆弱性が非常に高いため、これを防衛するためには陸上、海上、空中からの脅威に対処できるような局地防備を確立するための戦略上の処置が求められる。