軍備管理

軍備管理

軍備管理(arms control)とは、対立する双方の軍備の水準を管理する活動をいう。

18世紀以降のヨーロッパでは、外交交渉による軍備の撤廃や縮小を軍縮(disarmament)と呼んでいたが、これは現代の軍備管理の古典的な形態である。軍備管理の重要性が増したのは、第二次世界大戦に核兵器が実戦で使用されてからのことである。米ソ冷戦を通じて大国間が保有する核兵器の数が大幅に増大したため、次第に核戦争で共倒れになる事態への懸念が深まり、軍備管理の可能性が模索されるようになった。

軍備管理の手法には大別して軍備の規模や種類を制限するものと、信頼醸成措置や核実験禁止措置のように運用を制限するものがあり、両方を組み合わせる場合もある。軍備管理では、合意した内容が実際に履行されるかどうかが重要な問題となることが多く、また履行する時機、手順、方法に関しても対立する場合が珍しくなく、軍備管理交渉を成功させるためには多大な時間と労力がかかる。

軍事学において軍備管理の理論を最初に提案したのはイギリスの数学者ルイス・リチャードソンである。リチャードソンが1939年に発表した軍拡競争の数理モデルは、二つの独立した行為主体が相互に相手を脅威として認識し、軍事力を競い合うように拡張していくダイナミクスを理論的に定式化し、その後の研究の基礎を築いた(Richardsoin 1960)。やがて軍備管理に関連する戦力比、査察、外交の理論的な分析も進展することになり、重要な研究領域の一つとして確立されている。

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参考文献